タイタニックから学ぶ②「日本人乗船者」

2018年7月11日付のブログでタイタニック号を取り上げました。

 

 

今日は、タイタニック号にまつわる実際にあった話…

 

 

1912年に沈没したタイタニック号には、ただ一人の日本人乗船者がいました。細野正文氏(当時41歳)、ミュージシャンの細野晴臣氏の祖父に当たる方です。 

 

 

正文氏は鉄道院に勤める公務員で、第1回鉄道院在外研究員として海外の鉄道施設の視察を終え、ニューヨークに向かうタイタニック号に乗り合わせて事故に遭いました。ちなみに、鉄道院というのは今のJRのことです。

 

 

正文氏が、救命ボートが降ろされるのを見つめていた時、「あと二人乗れる」という声が聞こえ、一人の男性がボートに飛び込んだのを見て細野氏も思い切って飛び乗り、九死に一生を得ました。まさに奇跡の生還でした。

 

 

ところが、乗客の一人であるイギリス人化学教師のローレンス・ビーズリー氏の発表した手記の中の「無理矢理救命ボートに乗ってきた、嫌な日本人がいた」という証言が通説となってしまい、正文氏はいわれなき誹謗を受け、帰国後に鉄道院を免官されてしまいます。

 

 

正文氏は救助されたカルパチィア号の船上で、タイタニック号の便箋に事故の模様を詳細に手記にしていました。そして、無念の中、彼は誤解を解けないままに69歳で亡くなります。

 

 

この手記を見つけた、中央大学教授などを勤めた二男の日出夫氏が亡き父の名誉のために、昭和17年10月に「交通文化第20号」で「巨船タイタニック号の遭難日記」を発表して論陣を張りました。その後、父正文氏への非難の声が上がるたびに手記を公表して「正文氏の生還は本当に偶然であり、決して卑怯な行動はなかった」と弁護を続けます。

 

 

1997年7月、RMSタイタニック財団が当時の乗客名簿などに基づき、正文氏の遺族が保管していたこの手記を入手。アメリカのタイタニック号研究家の詳細な鑑定により、正文氏が乗っていたボートはビーズリー氏の乗っていた13号救命ボートではなく、10号救命ボートであったことが判明。この事実は、財団の所有する正文氏の直前にボートに飛び乗った「アルメニア人の証言」によっても裏付けが取れました。つまり、ビーズリー氏の通説は誤りであったことが証明されたのです。

 

 

正文氏は、事実ではない噂でいわれなき誹謗を受け、鉄道院を辞めさせられ、名誉を回復できずにこの世を去りました。そして、残された遺族も名誉が回復されるまでのおよそ60年間、苦渋の日々を過ごしました。

 

 

皆さんはどう思いますか?

 

 

もちろん、一番悪いのは、事実ではないことを書いたローレンス・ビーズリー氏です。ビーズリー氏の乗った救命ボートには正文氏は乗っていなかったからです。事故当時の欧米では、日本人や中国人に対する人種的な偏見があったのは事実です。だからと言って、事実ではないことを書いて人の人生を狂わせていいわけではありません。

 

 

そして、我々日本人にも問題があると思います。人はよく「テレビで言っていたから…」、「新聞に書いてあったから…」、「誰々が言っているから…」と言って情報を鵜呑みにしてしまいます。他人の噂は特にそうだけど、当の本人に直接聞いて確認することもしないし、しようともしない。したとしても、根拠もなしに本人の言い分を否定し、「〇〇が言っているから」と言って本人以外の言い分を根拠もなく信じてしまう…。テレビや新聞の情報は間違いなく真実だ、という決まりや根拠なんかはどこにもありません。昔から人はこの手の間違いで問題を起こしてますよね。

 

 

正文氏は事実ではない噂で人生を大きく狂わされ、無念のうちに亡くなりました。ご遺族も長く苦しんだはずです。ご遺族の中には他界されている方もいるでしょう。いくら名誉が回復されても、ご本人をはじめ亡くなられたご遺族はもうすでにこの世にはいないのです。どうすることもできないのです。

 

 

当時正文氏を誹謗し非難した人たちは、どうされるおつもりなのだろう? もし生きていたらぜひ聞いてみたい。「〇〇が言っていたから」では済まされないし、「ごめんなさい」では当然許されませんよね。

 

 

僕も日本の社会を生きている中で、学校や会社でいろんな話を聞きます。そこには他人の話題も出てきます。だけど、僕は絶対に噂で他人を判断しないことにしています。直接確認できない情報なら、調べるか「そんな話もあるんだ…でもその話は事実かどうかわからないよね」で終わりです。確認ができる場合は本人に直接聞きます。それから判断します。いい話ならともかく、その反対は特に厳しくこの自己ルールを守っています。

 

 

そして、「マスコミが言っている=真実」では絶対にありません。ウソを言う、とは言いませんが、少なくとも間違ったことを言う、ことはあります。なので、子供の頃から新聞を読むこの僕でも、新聞の情報を100%鵜呑みにはせず、ホント半分・うそ半分で見ています。そして、やっぱり納得いくまで自分で調べますね。

 

 

あなたがもし正文氏だったら…ということをぜひ考えてほしいと思います。そして、ぜひこのような過ちを起こさないようにするためにも、情報との接し方、人とのかかわり方を考えてほしい、と思います。

 

 

一方の話だけを聞いて判断するのではなく、他方の話も聞くことで真実が見えてくると思います。噂だけで判断するのは絶対によくありませんね。