【空の知識】④ 「maximum landing weight」と「fuel dump」

離陸した航空機が何らかの不具合で引き返してくることがあります。特にアメリカ行きのエアライン機なんかはよく戻ってくるのですが、大抵その時は海上でかなりの時間をかけて燃料を投棄(全部捨てるわけではありません)して機体を軽くしてから着陸しています。

 

 

なぜこんなことをするのか?

 

 

航空機には「maximum landing weight」が決められていて、この数値を超える重量で着陸するとギアやその支持部などの機体構造にダメージを与えることがあるんです。もちろん航空機は十分な強度を持って設計・製造されているわけだけど、大型機は燃料をたくさん積んでいるから(ましてやアメリカ路線のような長距離便ならなおのこと)それだけ着陸時におけるギアや機体構造への負担が大きいんです。まず接地するのはタイヤだからもしかしたらパンクするかもしれないし、機体構造の変形や破壊だってありうるわけです。そうはいっても急患や火災のような緊急事態で直ちに着陸が必要な時はそのまま着陸します。

 

 

燃料投棄のことを「fuel dump」と言います。燃料は揮発性が高い(ものすごく気化しやすい)ので、海上で燃料を投棄してもすぐに気化してしまうから地上に降ってくることはまずありません。

 

 

僕は小型機専門なんだけど、セスナ機は小さいから自分で給油します。エアラインが使うジェット燃料とはちょっと違う通称「AVGAS」と呼ばれる航空ガソリンを使うのですが、それでもすごく気化しやすく、そしてものすごい匂いがします。航空機の燃料って本当に不思議で、液体の時はほぼ引火しないんだけど、気体になったらものすごい勢いで燃えるんですよ。

 

 

ちなみに、この「fuel dump」ができる機体というのはエアラインが使う大型機クラスなどであり、僕が操縦するセスナ機くらいの小さな機体にはほとんどありません。そもそもセスナ機は「 maximum landing weight= maximum take-off weight」、つまり、すぐに緊急着陸する場合でも機体重量を軽くする必要がない(燃料を投棄する必要がない)ので、このような機能は必要ないのです。

 

 

航空機がどれだけ重いのか? まあ想像しても十分わかると思うけど、こんなこともあったんですよ。ちょっと昔の話だけど、猛暑の夏の時期に滑走路のアスファルトが熱で少し弱ってしまい、そこにジャンボ機のような大型機が頻繁に離着陸とか滑走で接触するものだから、かなりの轍ができてしまってそこへ入った機体が動けなくなってしまった、ってことがあるんです。僕たちが運転する車くらいで道路のアスファルトが、いくら猛暑でアスファルトが弱っているからといっても轍なんてできませんよね。それが航空の世界では起きてしまうんです。(すでにこの対策は取られているので、今は起きていないようです。) それだけ航空機は重いんです。

 

 

詳しくは話せないけど、僕はお仕事で成田の滑走路・誘導路に入ったことがあります。結構ボコボコ、というか凹凸がありましたよ。そうだろうな、と思いましたね。

 

 

こんなこともあるんですよね。