【空の知識】⑤ take-off distance

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これは、僕が操縦するセスナ機の離陸性能(離陸距離)表です。エアラインが使う大型機も基本的な考え方は同じです。

 

 

セスナ172型機の場合、離陸性能表は最大離陸重量である2,300LBSと、2,100LBS、1,900LBSの3タイプがあります。この表を基にして実際の重量に比例させて距離を算出します。LBSはポンド(重量の単位、1LBS=454g)のことで、航空の世界では基本的にキログラムは使いません。

 

 

この表からわかることは、

①重量が重くなれば離陸距離は延びる←これは何となくわかるよね(笑)。

②気温が高くなれば離陸距離は延びる←空気密度が小さくなるから。揚力=½×空気密度×(速度=風速)²×翼面積×揚力係数でしたね。

③気圧高度が高くなれば離陸距離は延びる←やっぱり空気密度が小さくなるから。

※気圧高度は話し出すと長くなるので…。とりあえず今日は簡単に飛行場の「標高」だと思ってください。

 

 

ということは、日本で最も標高の高い空港である松本空港を、真夏の一番熱い!時間に、燃料満タンで4人めい一杯乗せて離陸しようとしたらものすごいことになるってことです。仮に重量2,300LBS(最大)、気圧高度2,000ft、気温30℃なら、単純計算で離陸距離は1,075ftです。もし逆の条件で、重量1,900LBS(軽く)、気圧高度0ft(低く)、気温0℃(寒く)なら470ftです。性能の違いが実感できましたか? 小型機のセスナですらこれだけ数値が変化するんだから、エアラインの使う大型機ならなおのことですよね。LCCが使うかわいらしいA320でも同様です。

 

 

少し突っ込んだ話をすると、この表の数値には条件があり、「フラップ0度、ブレーキ解除前にエンジンフルパワー、舗装され水平で乾いた滑走路、無風状態」です。そして、headwindが9kt増加する毎に10%距離が減る、tailwindは10ktまでで2kt毎に10%距離が増える、などの変動する要素がいくつかあります。航空機は風に向かって飛んでいく(離着陸する)けど、風っていつも真正面からとは限りませんよね。斜め風の場合は「横風成分」と「正対成分」の2つに分解できます。headwindはその正対成分の風です。そして、揚力=½×空気密度×(速度=風速)²×翼面積×揚力係数でしたね。風速=速度が増えるから揚力が増加する→離陸距離が小さくなる、ということです。tailwindと言うのは後ろからくる風なんだけど、基本的に後ろ風で離着陸することはありません。離着陸距離が延びてしまうからです。

 

 

機体は重い、気温は高い、標高は高い、風は乱気流状態、滑走路はめちゃめちゃ濡れている…こんな状態で離着陸しようとしたらとても危険だろうね。

 

 

こうやって性能表を見てみると、航空機って面白い乗り物ですよね。