【空の知識】⑦ time,fuel,and distance to climb

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これは、上昇するために必要な時間・燃料・距離を算出するチャートです。多分エアラインの大型機にもこんなのがあるはずです。これはセスナ機のチャートですが、僕の操縦経験から言ってもほとんど正確です。

 

 

このチャートからわかることは、

①高度が上がるにつれて、上昇速度と上昇率が低下してくる

→空気密度が小さくなり、エンジンパフォーマンス、揚力、プロペラ効率が低下するからです。空気密度は気温にも影響されるので、航空の世界では「気温」が重要な要素の1つになります。

 

 

このチャートにも条件があって、 「CONDITIONS」欄には「Standard Temperature」とあり、「NOTES」欄には「above standard temperatureでは、時間・燃料・距離の数値を10℃増加する毎に10%増やすこと」、無風状態であること、などが記されています。

 

 

standard temperatureとは、以前このブログでもご紹介した「国際標準大気」のことです。海面上の気温(水温ではありません)が15℃、海面上の気圧が29.92inch、気温減率が-2℃/1,000ft(-6.5℃/1,000m)というヤツです。(実際には他にも3つ条件があるのですが、とりあえず今はこの3つが重要です)。

 

 

このチャートの左から2つ目のボックスの「高度」の欄に「S.L.」とありますよね。これはSea Levelの略です。つまり海面(=0ft)です。そして、その右隣には「15℃」とありますね。上記の国際標準大気の数値と同じでしょ! そして気温の欄を見ると、ちゃんと1,000フィート毎に2℃ずつ低下してますよね。

 

 

僕の経験から言うと、セスナ機で12,000ftまで上昇することはほとんどありません。というのも、国際標準大気でもその高度に達するには少なくとも29分かかります。実際の大気が標準大気そのままということはないので、実際の運航ではこれよりも長くなるはずです。そして、都内から例えば大島や福島への飛行だと1時間もかかりません。12,000ftに到達した時点で中間地点を超えている可能性が大です。そうなるとすぐに降下を開始しないといけないから、そこまで上昇する意味がないんです。燃料はいっぱい使うし、エンジンには負担をかけるし。いいことなんて一つもありません。もちろん飛行距離によるのですが、こういったことも考えてどの高度まで上昇するか、ということを操縦士は考えています。

 

 

もちろんですが、飛行中にこのチャートを見て計算して飛行なんてしませんからね。あくまで飛行前の計画作成の段階で使うだけですよ。

 

 

なぜ12,000ftまでの数値しかないのか? 実はこれがセスナ機のほぼほぼ限界なんですね。どこまでも上昇していけるわけではないのです。